そば茶

ウラ・アオゾラブンコがなくなって寂しいので、自分で作家たちの言動の記録をメモしていくブログ

内田百閒と大手饅頭

 私は度度、大手饅頭の夢を見る。大概は橋本町の大手饅頭の店に這入つて、上り口に腰を掛けて饅頭を食ふ夢である。
 早くから店を仕舞ふと云ふ事を、子供の時に覚えてゐるので、夢ではいつでも、もう無くなりさうで、間に合はないから、大急ぎと云ふ、せかせかした気持ちがする。
 子供の時は、普通のが二文で、大きいのが五文で、白い皮の一銭のは、法事のお供へだと思つた。
 大きくなつてからも、県中の時も、六高の時も、大手饅頭はしよつちゆう買つて来て食つた。


内田百閒『大手饅頭』より

内田百閒の随筆によくよく出てくる大手饅頭
夢に見るまでの食べ物と聞いて、ワクワクしながら食べたら、あまりの甘さに悶絶したので、渋いお茶と一緒にちびりちびりと食べるのをおすすめしたい。

御馳走帖 (中公文庫)

御馳走帖 (中公文庫)