そば茶

ウラ・アオゾラブンコがなくなって寂しいので、自分で作家たちの言動の記録をメモしていくブログ

頭がデカい内田百閒

「やはり思うくはあいけれど、まあ貧乏話なんかは構わないとしても、僕が漱石先生のパナマ帽を貰ったと云うのは本当ですか」
「本当だろう」
「そうか知ら。しかし漱石先生の帽子が僕の頭に這入るわけがないと思うんだけれど」
「そりゃ君、洗濯屋で鉢をひろげさして被ったと、ちゃんと中央公論に書いてあるじゃないか」
「書いてあるのは、大人(あなた)が好い加減な事を書いて、それが雑誌に出たのを読んだら、今度は御自分の方でそうか知らと思っているだけですよ。洗濯屋で大きくなるものなら、昔から僕は帽子の苦労をしやしない」
「そりゃそうだ。帽子は中中、大きくならんからねえ」


内田百家『大人片付  三「続のんびりとした話」の謂れ』より

その他、頭がデカくてサイズの合う帽子がなかなか見つからないという文章がちらほら有る百閒先生。
とても親近感を覚える。

百鬼園随筆 (新潮文庫)

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