そば茶

ウラ・アオゾラブンコがなくなって寂しいので、自分で作家たちの言動の記録をメモしていくブログ

泉鏡花の潔癖性

 大体に潔癖な方ですから、生物を食べなくなってからの先生は、如何いかなる例外もなく良く煮た物しか召し上がらなかった。刺身、酢の物などは、もってのほかのことであり、お吸物の中に柚子の一端、青物の一切が落としてあっても食べられない。大根おろしなども非常にお好きなのだそうですが、生が怖くて茹でて食べるといった風であり、果物なども煮ない限りは一切口にされませんでした。
 先生の熱燗はこうした生物嫌いの結果ですが、そのお燗の熱いのなんのって、私共が手に持ってお酌が出来るような熱さでは勿論駄目で、煮たぎったようなのをチビリチビリとやられました。


小村雪岱 『泉鏡花先生のこと』より


この『泉鏡花先生のこと』は、他にも犬やエビ・タコなどの鏡花が嫌いなものについても書いてあるので、鏡花の人となりを知るには短い割にはよろしいかと。

青空文庫 小村雪岱『泉鏡花先生のこと』
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