そば茶

ウラ・アオゾラブンコがなくなって寂しいので、自分で作家たちの言動の記録をメモしていくブログ

自分の名前がイヤだった中也の金沢の思い出

 夕方弟と二人で近所の子供が集つて遊んでゐる寺の庭に行つた。却々みんな近づかなかつたが、そのうち一人が、「名前はなんだ」と訊いた。僕は自分の中也といふ名前がひどくいやだつたものだから、「一郎」と小さな声で躊躇の揚句答へた。それを「イチオー」と訊ねた方では聞き違へて、「イチオーだ」とみなの者に告げ知らせた。するとみんなが急に打解けて、「イチオー遊ばう」と近寄つて来るのであつた。由来金沢にゐるあひだぢう、僕の呼名は「イチオー」であつた。


中原中也『金沢の思ひ出』より


陸軍医だった父親の仕事の都合で金沢に住んでいた中也は今の金沢市寺町に住んでいた。
その頃住んでいた家の跡は緑地になり、文学碑があるのだが、上記の部分ぐらいしか書いてないので、
なぜそこに中也の文学碑があるのかわからないという不親切仕様である。


青空文庫 中原中也『金沢の思ひ出』
http://www.aozora.gr.jp/cards/000026/files/50242_41475.html